2013 年 28 巻 1 号 p. 103-107
メシル酸イマチニブ(グリベック®)はPDGFRを標的としたチロシンキナーゼ阻害剤であり,隆起性皮膚線維肉腫の増殖を抑制する。今回,隆起性皮膚線維肉腫転移巣の治療としてイマチニブを投与した2例を経験した。症例1:43歳,女性。腹部原発の隆起性皮膚線維肉腫に対して拡大切除術後5年で腹腔内転移巣が出現した。全摘後3ヵ月で腹腔内に多発転移巣が出現したため,イマチニブ400mg/日を投与したところ,3ヵ月後には16%の縮小し,600mg/日まで増量し,現在まで増大なく経過している。症例2:46歳,男性。腹部原発隆起性皮膚線維肉腫に対して拡大切除術後3年で肺,皮膚転移巣が出現した。全摘出したが,7ヵ月後には縦隔転移巣が出現した。イマチニブ400mg/日を開始し,800mg/日まで増量したところ,投与20ヵ月後には縦隔転移巣は消失した。