天理医学紀要
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症例報告
けいれんと意識消失を伴ったQT 延長症候群の1例
三木 直樹南部 光彦吉村 真一郎武野 亨中村 好秀松村 正彦
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2013 年 16 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

 今回我々は, てんかんが疑われたQT延長症候群(long QT syndrome; LQTS)の1女児例を経験したので報告する. 患児は7歳時, 早朝に数分間持続するけいれんと意識消失発作がみられた. 10か月後にも同様の発作が出現した.脳波やMRI, SPECT検査では異常と正常の境界領域であり, てんかんの可能性も疑われたが,無治療で経過観察した. 8歳時には目覚まし時計が鳴った直後に3回目の発作が出現した. その際の詳細な問診で小学1年時の学校心電図検診でLQTSが疑われていたことが明らかとなったため, 心電図検査を行ったところ,補正QT時間は 0.500秒と延長していた. また遺伝子検査でHERG遺伝子の異常が明らかとなり, LQTSの2型であることが確定診断された. 現在β遮断薬で順調に経過している.意識消失やけいれんがある場合, LQTSを含む心疾患の可能性も念頭に置く必要がある.

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© 2013 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
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