2012 年 41 巻 p. 79-89
創造都市とは,チャールズ・ランドリー,リチャード・フロリダらによって1990年代以降提唱されてきた,文化芸術を都市経営の中心に位置づけた都市ヴィジョンである.近年,世界各国の自治体では,創造都市のもたらす利益の可能性が信奉され,様々な施策が展開されてきた.他方で,2000年以降,デヴィッド・ハーヴェイの企業家主義的都市論に依拠しつつ,新自由主義の進展と共振する創造都市の問題が指摘されてきた.本稿では,創造都市に対する批判的先行研究を踏襲しつつ,創造都市の誕生をめぐるグローバルな政治経済的プロセスを明らかにすることを目指す.