電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
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SIS研究会提案
騒音抑圧技術
— 基礎とその応用 —
笹岡 直人伊藤 良生
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電子付録

2011 年 5 巻 2 号 p. 136-145

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抄録

我々の生活には,様々な騒音が氾濫しており,携帯電話,補聴器などのマイクロホンには所望信号である音声以外に騒音が混入し,会話の妨げとなる.そこで快適な通話品質を確保するためにマイクロホンアレー,スペクトルサブトラクションやMMSE(Minimum Mean Square Error)-STSA(Short Time Spectral Amplitude)などに代表される騒音抑圧技術が古くから研究されてきた.また騒音抑圧技術の実現には信号や音場の推定に用いられる適応信号処理技術が必須である.そこで本稿では騒音抑圧技術の基礎である適応フィルタを利用したノイズキャンセラについて説明する.次に,音声強調手法に焦点を当てMMSE-STSA 手法並びに適応信号処理を用いる騒音抑圧技術について述べる.ところで,従来の音声強調手法により定常性の高い騒音に対して良好な抑圧効果が得られていたが,衝撃音などの時間変動の急しゅんな突発性騒音の抑圧は困難であった.しかし近年,そのような突発性騒音を抑圧する手法が提案されている.そこで最後に突発性騒音の特性並びに突発性騒音抑圧法に関する近年の研究動向についても述べる.

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© 2011 一般社団法人 電子情報通信学会
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