地質学雑誌
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論説
風・波浪との関係からみた茨城県北浦湖底堆積物の特徴
納谷 友規天野 一男岡田 誠中里 亮治公文 富士夫楡井 久
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2004 年 110 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

浅い湖沼における表層堆積物堆積過程を明らかにすることを目的として, 浅い海跡湖である北浦の118地点で, 粒度, 全有機炭素量 (TOC) そして全窒素量 (TN) の分析を行った. それに基づいて風による波浪の影響の強い浅い湖沼における堆積モデルを提唱した. 北浦湖底堆積物は, 湖底平原の大部分を粘土質堆積物が占めることと, 沿岸域の2.5 m以浅に砂質堆積物が狭く分布することにより特徴づけられる. この特徴は, 本モデルによれば, 以下のように説明できる. 粘土質堆積物は波浪によって浅部または沿岸部から懸濁物として運ばれたものであり, 砂質堆積物は卓越風によって生じた吹送流に淘汰された残留堆積物となる. 北浦周辺地域の地形は低く流入河川の流域面積も小さい. このため, 湾入部の河口における粗粒堆積物の分布が狭く限定されている. なお, 南端部に分布する砂質堆積物は, 高海水準期における潮汐の影響により堆積したものであると解釈される.

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© 2004 日本地質学会
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