水文・水資源学会誌
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研究ノート
中国甘粛省および内蒙古自治区における内陸河川の水質特性
秋山 知宏藤田 耕史中尾 正義安部 豊辻村 真貴
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2004 年 17 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

本研究では,中国西北地方の乾燥域である黒河流域と,隣接する石羊河流域を対象とし水質形成過程を検討した.その結果,両流域ともに,沙漠域の地下水は山麓域のそれと比較して高塩分濃度であった.乾燥域では通常,流下に伴い蒸発作用により溶存成分の濃度が上昇することが一般的であるが,黒河流域では山麓域からオアシス域にかけて低濃度の地下水の流出によって希釈され,地下水の河川流量に対する寄与率は,オアシス域では80%程度にも達することが示唆された.石羊河の主流は山麓域でその全てが堰き止められているため,沙漠域に到達する河川水の大部分はオアシス域の支流から流れてきた水が占める.そのため,沙漠域における河川水の水質組成は支流と同じであった.

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© 2004 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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