2011 年 67 巻 2 号 p. I_535-I_540
本研究は,GPS波浪計・DARTブイ・チリ沿岸の検潮所が観測した津波波形を利用して,インバージョン手法により2010年チリ地震津波の津波波源を推定することを目的とする。地震波の逆推定に基づく津波波源を使用した津波数値計算では,GPS波浪計・DARTブイ・震央の北側の検潮所において計算結果が観測値よりも早く到達し,震央の南側の検潮所において計算結果が観測値よりも遅く到達する,という課題が見られた。本研究が津波観測波形から推定した津波波源は,地震波の逆推定に基づく津波波源よりも南米大陸側に寄り,また南側に寄った。この結果,津波観測波形の逆推定に基づく津波波源を使用した津波数値計算では,計算結果と観測波形の一致度が向上した。