2010 年 41 巻 1 号 p. 65-71
1)医学教育領域におけるランダム化比較試験を実施し,その過程を振り返ることにより,実施上の課題を探った.
2) 2007年2月,日本医科大学の4年次生39名に対し,診断の決めてとなる内容の尋ね方について講義を実施し,直後に共感的な医療コミュニケーションスキルがどう影響されるかを標準模擬患者との面接にて測定した.医学生はランダムに介入群・比較群に割り付けられ,介入群への講義は面接での診断に合致した内容,比較群への講義は無関係な内容であった.
3) RCTデザインを用いた医学教育研究の実施に特有な課題として,研究倫理審査,割り付け情報に関する評価者のマスク化,両群に提供する教育介入や評価の同等性担保が見出された.