日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
ヘキサフルオロプロピレンオキシドと環状エーテルとの反応による環状エーテルの重合体の合成
増渕 泰之萩原 時男池谷 洋一河田 盛寿米澤 宣行
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2002 年 2002 巻 3 号 p. 365-369

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抄録

フッ素含有率の高いヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)と環状エーテルとの反応による重合について検討を行った.モノマーとして六員環エーテルであるテトラヒドロピラン(THP)を用いたときには,重合体は得られなかった.四員環エーテルであるオキセタン,および三員環エーテルであるプロピレンオキシド(PO)をモノマーとして用いたときに重合生成物が得られた.
 モノマーとしてオキセタンを用いたときに,最も高分子量の重合体を得ることができ,その数平均分子量は4.8 × 103であった.これは,オキセタンの開環重合反応性が,環状エーテルの中で最も高いためであると考えられる.
 モノマーとしてプロピレンオキシド(PO)を用いたときに得られる重合生成物は,他の環状エーテルをモノマーとしたときに得られる重合生成物とは異なる構造であった.これは,POが他の環状モノマーに比べてかさ高いこと,およびPOの環の開裂の方向がαβの双方で起るためであると考えられる.

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© 2002 The Chemical Society of Japan
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