薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
イソカルバサイクリンメチルエステル含有O/Wエマルジョン製剤 TTC-909 の体内動態(第2報) ラットにおける代謝
皆川 俊哉玉谷 隆次河野 喜郎諏訪 俊男近藤 史郎田中 利男真鍋 健次
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1995 年 10 巻 3 号 p. 315-331

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抄録

3H-TTC-909 および 3H-TEI-9090 をラットに静脈内投与後の血液,尿,胆汁および糞中の代謝物を分析するとともに,主要臓器における代謝活性を in vitro で比較検討し,以下の結果を得た.
1)HPLC およびイオンクラスター法を用いた GC-MS により,血漿,尿および胆汁より23個の代謝物を同定または推定した.
2)TTC-909 を投与後の血液および尿および糞中代謝物の組成は,TEI-9090 を投与した場合とほぼ同様であった.また,TTC-909 を投与した雌雄ラットの胆汁中代謝物組成には差異が認められた.
3)ラットにおいて TEI-9090 加水分解活性は血液および主要臓器に広く分布するが,特に血漿が極めて高い活性を示した.
4)TEI-9090 から加水分解により生じた TEI-7165 は,13,14-dihydro45-oxo 体である M-4 へ変換されるが,その活性は肝臓に比べて肺および腎臓に高かった.
5)TEI-7165 または M-4 は更にβ-酸化,6,9α-位還元およびω-酸化を受け種々の代謝物へ変換することが明らかになり,ラットにおける本薬の代謝経路をFig.6のように推定した.

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© 日本薬物動態学会
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