The Journal of JASTRO
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脳腫瘍に対するガンマナイフ治療
小林 達也木田 義久田中 孝幸雄山 博文吉田 和雄前沢 聡改井 修中村 元俊新畑 昌滋
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1996 年 8 巻 2 号 p. 121-133

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抄録

小牧市民病院では, 全国に先駆けて平成3年5月にガンマナイフ (kksell Gamma Unit) を導入後約4年3ヶ月の間に1000例の各種疾患の治療をおこなった.この内, 腫瘍性病変は568例 (56.8%) であった.その内訳は, 神経鞘腫e173例, 転移性脳腫瘍108例, 髄膜腫103例, 神経膠腫69例, 下垂体腺腫27例, 頭蓋咽頭腫26例, 松果体腫瘍13例, 脊索腫11例, 悪性リンパ腫6例, 血管芽腫が5例などである.この内, 最も治療効果の大きかったものは, 転移性脳腫瘍で短期間に腫瘍の消失もみられ腫瘍の制御率は1年にわたり85%以上を示した.次いで, 腫瘍消失縮小効果の大きいものに頭蓋咽頭腫, 松果体腫, 悪性リンパ腫がある.腫瘍の消失はみられないが縮小効果が中等度なものに下垂体腺腫, 聴神経腫瘍, 髄膜腫, 脊索腫等があげられる.一方腫瘍の縮小効果も少なく増大が比較的多くみられるものに神経膠腫がある.特に悪性神経膠腫瘍では局所の制御が難しく約70%で腫瘍が治療後増大した.しかし, 良性神経膠腫では局所の制御率は90%以上と高く対照的であった.また, 頭蓋外腫瘍として悪性頭蓋底腫瘍の中には, 脊索腫, 副鼻腔癌, 上咽頭腫瘍, 腺様嚢胞癌など, 従来放射線治療の効果が少なかったものが, ガンマナイフにより多くの症例で長期間, 良いQOLを保ちながら腫瘍が制御されることが判明した.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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