日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤十二指腸瘻の一例
鈴木 保之河野 元嗣軸屋 智昭福田 幾夫筒井 達夫井島 宏堀 原一
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1990 年 19 巻 6 号 p. 1128-1132

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抄録

症例は41歳,男性.ベーチェット病による腹部大動脈瘤十二指腸瘻により,突然の吐下血をきたし,ショック状態となり本院に転送されたため緊急手術を行った.大動脈瘤は6×8cm,嚢状で炎症性の癒着が激しく,腎動脈下での遮断は不可能であった.大動脈瘤を切開し,瘤内より十二指腸瘻を閉鎖した後,大動脈瘤頸部を縫合閉鎖,右腋窩大腿動脈バイパス術を行った.術後,急性腎不全を合併したが,保存的療法で改善し一時退院した.その後発熱し,術後2か月目再入院した.前回の大動脈瘤縫合部末梢側に再発大動脈瘤を認め,再び十二指腸瘻を生じ,吐下血を認めショック状態となったため再び緊急手術を行った.後腹膜よりアプローチし腹部大動脈を腎動脈下,ならびに腹部大動脈分岐で完全切離した.腹部大動脈瘤十二指腸瘻の診断,治療について文献的考察を加え報告する.

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