日本心臓血管外科学会雑誌
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内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術後にcoronary subclavian stealを呈した一例
坂口 秀仁北村 惣一郎河内 寛治森田 隆一西井 勤関 寿夫
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1991 年 20 巻 9 号 p. 1498-1501

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抄録

内胸動脈(ITA)を用いた冠動脈バイパス術(CABG)後に左鎖骨下動脈(SCA)起始部に狭窄性病変が出現しcoronary subclavian steal (CSS)を呈した症例を経験した.症例は70歳女性で,左ITAを左前下行枝(LAD)に用いたCABG術後1年3か月ごろから胸部圧迫感を認めたため,冠動脈グラフト造影検査を施行した.左SCA起始部に高度の狭窄がみられ,造影剤が逆行性に左ITAグラフトを介してLADから左SCAへ流れるCSSを認めた.左SCA起始部の狭窄に対しバルーン拡張術を施行したところ本現象は消失し,狭心症状も消失した.ITAを使用したCABG後にCSSが出現するのは稀であるが注意を要する合併症であり報告した.

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