日本心臓血管外科学会雑誌
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早期閉塞型大動脈解離 (Closing aortic dissection) に関する臨床的検討
井上 正川田 志明古梶 清和工藤 樹彦三角 隆彦
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1992 年 21 巻 2 号 p. 133-140

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抄録

急性大動脈解離の発症早期に解離腔が閉塞し,“血流のない解離腔”を生じるものを, 1つの clinico-pathological entity として“早期閉塞型大動脈解離-closing aortic dissection”と呼称し, 発症早期からその臨床経過を観察しえた14例について, 臨床像と臨床経過を報告した. 13例は発症早期に解離腔の完全閉塞をきたしたが, 1例は初期には不完全閉塞を示し, その後完全に閉塞した. 2例が, 血流の再開通をきたして再発したが, それぞれ4週, 6週までに不完全にあるいは完全に再閉塞した. したがって, entry を認めたものは3例で, 別に3例にその痕跡を認めた. 8例には全く認められなかった. 1例が二次的のI型解離の併発によって死亡したが, その他はすべて生存した. あわせて, 本症の発生機序に言及した.

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