日本心臓血管外科学会雑誌
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下大静脈より発生し右房内に発育進展した平滑筋肉腫
体外循環下に切除しえた1症例
柳沢 肇須藤 憲一小石沢 正森田 裕海野 透理林 信成野口 顕一田所 雅克小久保 純池田 晃治水野 明内ケ崎 新也毛利 昇
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1992 年 21 巻 2 号 p. 186-190

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抄録

下大静脈原発平滑筋肉腫はまれな疾患である. 本邦報告例も治験例を含めて11例であった. 今回われわれは, 右房内に発育した下大静脈原発平滑筋肉腫を, 下大静脈壁の一部とともに体外循環下に切除しえたので報告する. 症例は, 40歳男性で, 両下肢の浮腫と息切れを主訴とし来院し, 右房粘液腫または下大静脈原発腫瘍を疑い体外循環下に手術を行った. 腫瘤は右房内を占拠し, 心房内, 心房中隔には茎はなく, 下大静脈原発腫瘤と判断し, 下大静脈の一部とともに合併切除し, 欠損部を Gore-Tex 0.2mm心膜パッチにて再建した. 腫瘤重量は, 130gであり, 病理所見では, 紡錘形腫瘍細胞よりなり, 細胞は束状に交錯し, 核分裂像もみられ, 下大静脈壁にも腫瘍細胞の浸潤が認められた. 免疫組織化学的観察では, デスミン, ビメンチンに対して陽性を示した. 術後7か月を経過し現在外来にて経過観察中である.

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