日本心臓血管外科学会雑誌
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大腿動脈閉塞性動脈硬化症に対する外科治療の検討
血栓内膜摘除術とバイパス術
福村 好晃黒上 和義北川 哲也江川 善康加藤 逸夫
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1992 年 21 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

1978年から1990年10月までに大腿膝窩動脈領域閉塞性動脈硬化症75症, 97肢に対して血行再建手術を施行した. Risk factor として喫煙歴と高血圧が高率で, 他に心臓, 脳, 腎臓に合併症を持つものも多く認められた. 手術は大腿膝窩動脈の血栓内膜摘除術 (TEA) 31肢, またはバイパス術 (バイパス) 66肢である. 累積開存率はTEAが5年および10年が72.6%, バイパスが5年48.1%, 10年36.1%と, TEAがバイパスに比し遠隔期において有意に良好で, TEAで閉塞した症例は全て1年以内であった.また, 近位部病変合併例においては近位部を解剖学的に再建した方が, 大腿膝窩動脈領域の開存率は良好であった. TEAには, 早期閉塞を防ぐための慎重な手術と術後の厳密な抗凝固療法が重要であるが, 良好な遠隔期の開存率からみて, 大腿膝窩動脈領域の血行再建術として優れた術式である.

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