日本心臓血管外科学会雑誌
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吻合部にグルタルアルデヒド処理を行ったA型解離性大動脈瘤の1治験例
補強効果と合併症について
天野 篤外山 雅章柳 一夫田邊 大明佐藤 健志
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1992 年 21 巻 2 号 p. 200-203

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抄録

症例は71歳の女性, A型解離性大動脈瘤と冠動脈2枝病変の診断で, 発症から32時間後に急性期手術を開始し, 上行大動脈人工血管置換術と2枝バイパスを施行した. 術中, 解離した大動脈壁が菲薄で脆弱であったたあ, 吻合部および解離した大動脈壁を速効性の架橋剤である25%グルタアルデヒド液にて7分間処理し, 補強効果を得て安全な吻合操作が可能であった. 術後は心機能の回復は良好であったが, 合併症として恒久的な完全房室ブロックと Sellers I度の大動脈弁閉鎖不全症を残した. 体内式ペースメーカーを植え込んだ後に退院し, 現在は社会復帰している. 処理中, 左室内腔に挿入したガーゼが大動脈弁を半閉鎖の状態にしていたため, 浸透したグルタルアルデヒドが弁と刺激伝導系の一部を障害したものと考えられた. 周囲組織への浸潤にさえ細心の注意を払えば, 本法は安全な吻合操作を行うため有用な手段の1つと考えられる.

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