日本心臓血管外科学会雑誌
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感染性心内膜炎の外科治療
岡本 浩関 章星野 元昭朝倉 貞二小川 裕保浦 賢三松浦 昭雄秋田 利明阿部 稔雄
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1992 年 21 巻 3 号 p. 223-228

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抄録

最近9年間に当院および関連施設で手術を行った感染性心内膜炎37例について治療上の問題点につき検討した. 罹患部位は大動脈弁位17例, 僧帽弁位10例, 大動脈弁+僧帽弁10例, 2例は人工弁感染で, 他の35例は自然弁感染であった. 起炎菌は Streptococcus が最も多く20例, Staphylococcus 5例, グラム陰性桿菌3例で10例は培養陰性であった. 術式に大きな影響を及ぼす弁輪部膿瘍は大動脈弁位で10例に認めた. 弁輪の再建は欠損の小さな4例ではマットレス縫合で縫合し, 欠損の広範な4例では自己心膜パッチを縫着し良好な結果を得た. 人工弁付人工血管で translocation を行ったPVEの2例は救命できなかった. 最近は逆行性冠灌流法を採用し顕著な術後LOSの発生をみていない. 術後早期死亡を4例に, 遠隔死亡を3例に認めたが, 感染性動脈瘤破裂による脳出血が2例であり, 今後の検討を要する課題である.

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