日本心臓血管外科学会雑誌
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凍結保存ヒト大動脈弁作製のための実験的研究
中山 正吾伴 敏彦岡本 好史
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キーワード: 細胞生存性, 凍害保護液
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1992 年 21 巻 3 号 p. 238-244

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抄録

ブタ大動脈弁および肺動脈弁を用い凍結保存同種弁を作製し凍結保存処理による細胞生存性と組織学的変化について検討した. 採取した弁は抗生物質 (CFX, IPM/CS, PCG, SM) を含む Dulbecco minimum essential medium+10% fetal calf serum 内にて37℃で6時間抗生物質処理した. 抗生物質処理にて菌培養は陰性となり, また細胞生存性も低下しなかった. 凍結保存には1分間に-1℃の一定の割合で凍結する program freeze 法と液体窒素により急速に凍結する rapid freeze 法を用いた. 併せて凍害保護液として dimethylsulfoxide (DMSO) の効果も検討した. 10% DMSO使用 program freeze 法により大動脈, 肺動脈とも細胞生存性は低下せず, 組織変化もなく3か月まで保存可能であった. 本法はヒト保存弁の臨床に応用しうると思われた.

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