日本心臓血管外科学会雑誌
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内腸骨静脈, 下大静脈を経て右房内に達し三尖弁嵌入を生じた intravenous leiomyomatosis の1摘除例
中山 芳夫北村 惣一郎河内 寛治川田 哲嗣水口 一三長谷川 順一
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1992 年 21 巻 3 号 p. 278-282

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抄録

子宮原発で右内腸骨静脈, 下大静脈を経て右房に達した intravenous leiomyomatosis の1摘除例を経験した. 症例は54歳, 女性. 子宮筋腫の手術を受けた10年後に3回の意識消失発作を呈した. 精査にて右内腸骨静脈より右房まで連続する腫瘍を認め, intravenous leiomyomatosis の診断のもと体外循環を用いた開心, 開腹による一期的手術にて腫瘍を摘出した. Intravenous leiomyomatosis と呼ばれる子宮筋腫を原発とし, 静脈内に伸展する良性の平滑筋腫はまれな疾患である. 心腔内に達し開心術を施行した報告例は過去20例あり, われわれは21例目を経験し, これら症例をあわせて検討した. 過去の20例中9例は術前に右房内腫瘍, とくに粘液腫を疑い手術を開始しており, 5例が部分切除に終わっている. 本症例では術前より腫瘍の全貌をほぼ明らかにし開心, 開腹による一期的手術にて腫瘍を摘出しえた. 一期的手術報告は意外に少なく, わずかに21例中5例 (24%) のみであった.

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