日本心臓血管外科学会雑誌
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モデルサーキットを用いた体外循環における凝固・線溶・補体・血小板系の変動に関する研究
諸 久永大関 一上野 光夫名村 理中沢 聡土田 昌一林 純一宮村 治男江口 昭治
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1992 年 21 巻 5 号 p. 447-451

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抄録

人工肺を含む体外循環時の凝固・線溶・接触・補体・血球系の変動を生体血管内皮や肺循環の影響を除外したモック回路で検討した. 未使用の膜型人工肺と塩化ビニル製回路に, クエン酸加ボランティア新鮮全血200mlと乳酸リンゲル液200mlを無ヘパリンにて充填後, 37℃にて500ml/minで6時間灌流した. 凝固系, 線溶系, 接触系, 血小板系, 補休系, 白血球系を, 前, 30, 60, 120, 360分に測定した. 第XII因子, HMWKの消費, TAT, TPAの上昇, fibrinogen の減少が認められ, 凝固カスケードは進行していた. 同時に線溶系も発動し, FPB β15-42は増加するもPIC, Dダイマーは正常域であり, 二次線溶の亢進は認められなかった. 一方, PFIV, βTGの著増から血小板の関与した凝固機転を認めた. また, C3a, C4aは補体活性化の両 pathway の進行により, 賦活されていたが, C5a, 顆粒球の活性化は, まだ認められなかった. 以上, 本実験から, 血液と異物との接触によって非生理的活性化反応が生じ, さらに, 生体を介す前段階のプライミング時から, すでに存在することが示された.

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