日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術後における CPK-MM isoform 測定の有用性についての検討
尾上 雅彦森 渥視渡田 正二杉田 隆彰白石 昭一郎野島 武久田畑 良宏松野 修一
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1992 年 21 巻 6 号 p. 552-555

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抄録

CPKのアイソザイムであるCPK-MMには, さらにMMa, MMb, MMcの3つのサブバンド (isoform) が存在する. 急性心筋梗塞後には血清中のMMaやMMa/MMcが他の心筋逸脱酵素より早期に上昇することが報告されているが, 今回われわれは開心術中および術後に経時的に血中のCPK, CPK isozyme, CPK isoform を測定し, CPK isoform が開心術における心筋障害の指標となるかどうかを検討した. CPK-MBは体外循環6時間後に最高値を示したのに対し, MMa/MMcは, 体外循環終了直後には最高値を示していた. また体外循環終了直後のMMa/MMcは, 体外循環終了6時間後のCPK-MBと統計学的に有意な正の相関を示した (Y=24.46X+16.68, r=0.63, p<0.05). CPK-MBの最高値は心筋障害の程度とよく相関することから, 体外循環直後のMMa/MMcもまた開心術における心筋障害を反映していると考えられ, MMa/MMcは開心術における心筋障害の程度を, きわあて早期に評価可能な指標となりうる可能性が示唆された.

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