1992 年 21 巻 6 号 p. 579-582
心原性ショックを呈した急性心筋梗塞後心室中隔穿孔に対して, 3回の手術を施行し救命しえた. 症例は64歳女性, 急性心筋梗塞発症6時間後に心室中隔穿孔出現し, 心原性ショックを呈したため緊急手術を施行した. 術後5病日に心室間短絡再発を認め, 心不全傾向増強したため術後7病日に再手術を施行した. 再手術後5病日にふたたび心室間短絡を認めたが, 循環動態は安定していたため, 再々手術は穿孔辺縁組織再生を待って施行する方針とし, 再手術後33病日に施行した. 術後経過は良好で再々手術後53病日に軽快退院した. 本症例の経験より, 短絡再発により循環動態悪化をきたすような症例に対しては, 再手術を施行する方針とすべきと考えられた.