日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈・肺動脈瘻と僧帽弁膜症に対する同時手術
名和 清人辻 和宏紀 幸一寺本 滋林 健二宮地 康夫角南 博之
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1992 年 21 巻 6 号 p. 583-588

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抄録

比較的希な形態の冠動脈・肺動脈瘻を合併した僧帽弁膜症2例に対し開心術を施行した. 症例1は心房細動とうっ血性心不全にて発症し, 精査の結果, 両側冠動脈・肺動脈瘻を合併した僧帽弁閉鎖不全症 (Sellers III度弱) と診断した. うっ血性心不全の再発のため瘻孔閉鎖と僧帽弁弁論縫縮術を体外循環下に施行した. 症例2は10年前の直視下僧帽弁交連切開術後の再狭窄例である. 今回の精査にて, 気管支動脈を介した左冠動脈と右肺下葉動脈との交通を認めた. しかし, 肺動脈分枝の狭窄はみられなかった. 体外循環下に異常血管の結紮と僧帽弁置換術を施行した. うっ血性心不全に対する冠動脈瘻の相乗的関連性と, 開心術症例でのCAGルーチン化の重要性, および心停止液の steal の問題に言及した.

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