日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
僧帽弁置換術後左室破裂症例の検討とその対策
楠原 健嗣三木 成仁上田 裕一大北 裕田畑 隆文山中 一朗
著者情報
キーワード: 僧帽弁置換術, 左室破裂
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 1 号 p. 62-67

詳細
抄録

1979年より施行した僧帽弁置換術216例のうち発症した左室破裂4例 (MS 3例, MR 1例), 1.9%を報告する. さらに救命しえた最近の2例の経験から対策を検討した. 手術は全例SJM弁で置換した. 左室破裂は, 1例は手術中, 他の3例はICU帰室後約40~90分後に発症した. 破裂部位は Treasure 分類I型が2例, II型が2例であった. 破裂修復は, 全例, 体外循環, 心停止下に行った. 1例は破裂部を心外膜側より縫合し, 止血に成功したが, MOFで死亡した. 他の3例は, 弁をはずし, 破裂部を心内膜側より縫合止血を行った. 直接縫合の1例は止血できず, 台上死したが, 他の2例は破裂部を心内膜側より心膜パッチにて閉鎖し, さらに心外膜側からも心膜パッチにて覆い, 止血に成功した. 左室破裂に対する術式としてこの方法が有効であり, 推奨できるものと考える. さらにICUでの発症が多いことから, ICUでの緊急手術態勢が重要である.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top