日本心臓血管外科学会雑誌
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人工弁置換後の Trapidil, Aspirin を用いた抗血小板療法の検討
村田 升久米 誠人小林 聰森保 幸治横川 秀男山田 眞舟波 誠高場 利博古川 俊隆
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1993 年 22 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

人工弁置換術が施行された外来通院中の患者26名のうちで, 抗凝固療法のみ施行されていた患者14名と, Aspirin を併用投与されていた患者12名それぞれに Trapidil 300mg/dayを投与し, 投与後1, 3, 6か月後に血小板凝集能と Thromboxane B2 (TXB2), 6-keto-PGF1αを測定した. その結果, Trapidil投与後はいずれの群でも血小板凝集能は低下し, 血清TXB2値, TXB2/6-keto-PGF1α比は共に投与開始後6か月後有意に低下した. 血小板凝集促進作用を持つTXA2の代謝産物であるTXB2と, 血小板凝集抑制作用を持つPGI2の代謝産物である6-keto-PGF1αがこのような変動を示すのは Trapidil の血小板凝集抑制効果を表すと思われた. また Aspirin 併用群では血小板凝集能, TXB2が非併用群よりも有意に低下した. Trapidil は抗血小板療法として有用であり, Aspirin, Trapidil 併用はより効果的な抗血小板療法と思われた.

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