日本心臓血管外科学会雑誌
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細菌感染性動脈瘤の外科治療
千葉 幸夫村岡 隆介井隼 彰夫森岡 浩一上坂 孝彦
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1993 年 22 巻 5 号 p. 409-413

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抄録

当施設で経験した細菌感染性動脈瘤の10例から外科治療の問題点を検討した. 治療方針として, 長期開存性や quality of life の点から, 解剖学的バイパスを目標とし, このため可能であれば厳重な管理下に強力な抗生剤により感染が鎮静化するのを待って手術を行った. 手術方法は瘤を閉鎖的に完全に切除し, 人工血管で置換することを基本としたが, それの不可能な場合は, 可及的に感染巣を切除し, イソジン加生理食塩水で洗浄し, バイパスした人工血管を大網で覆った. 一方抗生剤の使用にもかかわらず, 感染の鎮静化がみられない症例に対しては, 非解剖学的バイパスを行い, 一期または二期的に感染瘤の切除を行った. 感染活動期での手術では人工血管への感染が最大の問題であり, 1例で吻合部の仮性動脈瘤を, さらに敗血症, DICへ移行する症例を2例経験した. また動脈瘤が一箇所とは限らないこと, 急激な感染の再燃に注意が必要であると思われた.

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