日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術後の顆粒球減少症に対し遺伝子組替え顆粒球コロニー剌激因子 (rhG-CSF) が奏効した2症例
碓氷 章彦川村 光生日比 道昭佐藤 浩生
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1993 年 22 巻 5 号 p. 414-416

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抄録

開心術後に白血球減少症をきたした2症例に対し遺伝子組替えG-CSF投与し良好な成績を得た. 症例1は65歳, 男性. 感染性心内膜炎のため緊急で二弁置換術を施行した. 第24病日に白血球数が1,000まで低下したためG-CSF 125μg皮内投与を開始した. 白血球数はG-CSF投与後4日目から上昇し, 7日目には15,500に上昇した. G-CSF投与後発熱はみられず, 感染症状は速みやかに消失した. 症例2は70歳, 男性. 4枝バイパス術後に右上肺野に肺炎を合併した. 第21病日に白血球数が2,300まで減少したためG-CSF 80μg皮内投与を開始し, 投与7日後に白血球数が18,200まで上昇したため投与を中止した. G-CSF投与翌日から解熱し, 肺炎は軽快した. 開心術後の顆粒球減少症に対する組替えG-CSFの投与は粒球増加を速やかにきたし, 感染症状の速やかな消退を導き, 顆粒球減少症の治療に有用であった.

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