日本心臓血管外科学会雑誌
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慢性透析患者に対する冠動脈バイパス術の2治験例
佐藤 洋岡田 昌義松田 均太田 稔明
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1993 年 22 巻 5 号 p. 425-429

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抄録

近年, 開心術の手術技術向上に伴い, 慢性透析患者に対しても開心術が行われるようになってきている. 最近われわれは2例の慢性透析患者に対し, 冠動脈バイパス術を施行した. 症例1は不安定狭心症, 急性左心不全のためIABP駆動下に緊急冠動脈バイパス術を施行し, 症例2は腹部大動脈瘤, 狭心症のため腹部大動脈瘤人工血管置換術+冠動脈バイパス術を一期的に行った. 2例とも体外循環中は人工心肺回路内に血液濾過フィルターを組み込み除水とKの排泄を行った. 術後急性期には, 症例1では腹膜透析, 限外濾過を用いた後, 術後21日目に血液透析に移行し, 症例2では限外濾過, 血液濾過を併用した後, 術後6日目に血液透析に移行しえた. 症例1ではショック状態で手術に臨み, 術後も循環動態が不安定であり術後管理に難渋したが, 2症例とも軽快退院した.

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