日本心臓血管外科学会雑誌
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開心術中の TNF, インターロイキン1 (IL-1), インターロイキン6 (IL-6) 血中値の変動
碓氷 章彦田中 稔竹内 栄二阿部 稔雄村瀬 允也前田 正信
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キーワード: サイトカイン, 体外循環
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1993 年 22 巻 6 号 p. 476-479

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抄録

開心術13例を対象に急性炎症との関連が認められるTNF, IL-1, IL-6の血中値を周術期に経時的に測定した. 血中TNFα値は, 手術当日は有意の上昇を示さず, 第1病日から緩やかに上昇を続け, 第7病日には術前値の約3倍の128±15pg/mlの最高値を示した. 急性期炎症反応との関連は認められなかったが, 術後の免疫機能との関連が示唆された. 血中IL-1β値は手術中は上昇を示さないが, ICU帰室後6時間に一過性の上昇を示し (58.1±67.5pg/ml), ICUにおける発熱との関連が示唆された. 血中IL-6値は体外循環中に急激な上昇を示し, 体外循環終了時に麻酔導入時の約15倍の最高値を示した (260±200pg/ml). その後速やかに減少し, 第2病日以降は術前値に復した. IL-6は組織損傷に対する急性期反応としての急性期タンパク質の誘導に対して強い作用があり術中の炎症反応のメディエーターとしての役割が示唆された.

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