日本心臓血管外科学会雑誌
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心臓外科における術前自己血貯血時の貧血に対する recombinant human erythropoietin (KRN5702) 皮下投与の臨床効果
多施設共同臨床試験
公文 啓二林 純一川島 康生江口 昭治高久 史麿
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1994 年 23 巻 3 号 p. 139-151

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抄録

心臓外科における術前自己血貯血時の貧血に対する遺伝子組換えヒトエリスロポエチン (rHuEPO) 皮下投与の効果を, 多施設共同臨床試験により検討した. 待機的開心術55例を対象とし, 手術予定日の2週および1週前にそれぞれ400gの自己血を採血貯血し, rHuEPOは手術3週前から200, 400もしくは600IU/kgを週1回, 計3回皮下投与し, 同時に経口鉄剤 (200mg) を連日投与した. 55例全例において目標の800gの貯血が可能であった. ヘモグロビン (Hb) 値はrHuEPO投与1週後, 200, 400および600IU/kg投与群でそれぞれ1.7, 2.8および2.1%増加し, その後, 自己血貯血とともに低下した. 手術直前には200IU/kg群では-4.2%と有意に低下したのに対し, 400および600IU/kg群では-0.8および0.7%と投与前値を維持した. 以上の結果, rHuEPOは心臓外科における術前自己血貯血時の貧血改善に対し有用であることが示された.

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