日本心臓血管外科学会雑誌
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鎖骨下動脈閉塞症に対する血行再建法の検討
手取屋 岳夫明元 克司笠島 史成安田 保上山 武史
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1994 年 23 巻 5 号 p. 365-368

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抄録

動脈硬化性鎖骨下動脈閉塞症はその経路が持つ解剖学的特徴により症状を複雑にしていることが多い. 鎖骨下動脈起始部閉塞は, 前斜角筋第一肋骨付着部の機械的圧迫に動脈硬化性変化が加わった病態と考えた. これに対しては鎖骨下動脈-総頸動脈端側吻合を選択した. 鎖骨下動脈が内胸動脈分岐部から胸肩峰動脈分岐部まで閉塞していた症例は, 前斜角筋および鎖骨下筋による圧迫が関与した病態と考えられた. これに対しては, 人工血管を用い総頸動脈-腋窩動脈バイパス術を施行した. グラフトが斜角筋群および鎖骨下筋で圧迫されないように解剖学的経路より外側を通過させた. 鎖骨下動脈閉塞症に対する血行再建の術式選択は, 閉塞部の解剖学的特徴を理解することが重要で, 動脈と同時に神経圧迫も解除し, これにより上肢および肩甲部の神経症状を軽快させうると考えている.

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