日本心臓血管外科学会雑誌
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相前後して腹部主要分枝動脈の解離・破裂をみた Marfan 症候群の一卵性双生児例
志水 秀行上田 敏彦四津 良平加戸 靖蜂谷 貴川田 光三飯田 修平石飛 幸三川田 志明
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1994 年 23 巻 6 号 p. 441-444

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抄録

Marfan 症候群に心血管系異常を伴うことは広く知られているが, 大動脈以外の中小動脈の動脈瘤合併の報告は少ない. 今回, 腹部主要分枝に解離あるいは破裂を生じ相前後して緊急手術を施行した一卵性双生児例を経験した. 兄は21歳時, 腹腔動脈瘤・両側腎動脈瘤・上腸間膜動脈瘤破裂の診断にて, 破裂部位である上腸間膜動脈を大伏在静脈で置換したが, 術後5日目に DeBakey I型大動脈解離の胸腔内破裂およびクモ膜下出血により失った. 弟は23歳時, 腹腔動脈瘤破裂・右腎動脈瘤の診断にて, 破裂部位である腹腔動脈を縫合閉鎖したが, ICU帰室直後胸腔内出血にて失った. 兄弟の臨床経過が極めて似ていること, すなわち, 大動脈に先行して腹部分枝動脈の解離・破裂を生じ, 最終的に胸腔内出血にて失ったことが特徴的であった. また, Marfan 症候群の一卵性双生児の本邦報告例は本症例の他に3例のみであり, この点からも希有な症例であった.

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