日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤120例の手術治療経験
ことに冠血行再建合併施行例の治療方針について
倉岡 節夫入沢 敬夫春谷 重孝金沢 宏小熊 文昭三浦 正道坂下 勲
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1994 年 23 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

腹部大動脈瘤120例の手術治療を経験した. 台上死を除く全例にグラフト置換術を施行し, 13例 (11%) の症例に合併疾患に対する同時手術を施行した. 合併異時手術として, 9例 (7.5%) に虚血性心疾患に対する冠血行再建を施行した. 虚血性心疾患合併例は冠動脈病変の評価に従い冠血行再建を先行する方針をとった. 待機手術例の手術死亡は1例 (1.1%), 遠隔生存率は待機手術例において術後平均51か月追跡で78%, 緊急手術例において術後平均46か月追跡で52%であり, 遠隔死亡原因としては悪性腫瘍, 心筋梗塞をはじめとする動脈硬化性病変の増悪が多数を占めた. 冠血行再建合併施行例における生存率は術後平均51か月追跡で89%であった. 遠隔成績向上のためには虚血性心疾患の合併に留意した術後患者の慎重な追跡が重要であると考えられた.

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