1995 年 24 巻 3 号 p. 145-149
1980年1月より1992年12月までに当施設にて根治術を施行したファロー四徴症522例中15例, 2.9%に冠動脈走行異常の合併を認めた. 本症では従来より心外導管修復術が選択, 施行されてきたが遠隔期の心外導管の狭窄が問題となっている. そこで今回, 本症の外科治療として心外導管修復術と近年施行している右室流出路再建術に関して比較検討した. 右室肺動脈較差, 右室左室圧比は術後著明に改善し, 右室流出路狭窄に関しては両群ともに十分に解除された. また左室駆出率・右室駆出率ともに術前後において低下することなく良好に保たれ, 両群において術後心機能に有意差を認めなかった. このため本疾患に対しては遠隔期に心外導管の狭窄が発症することを考慮すれば, パッチ右室流出路形成術または肺動脈右室直接吻合による可及的右室流出路再建術を積極的に選択すべきであると考えられた.