1995 年 24 巻 1 号 p. 1-5
1980年1月から1993年9月までの約14年間に当科にて経験した83例の大動脈解離症例のうち, 7例 (8.4%) に動脈硬化性の真性大動脈瘤を合併あるいはその既往 (術後) を有していた. 5例が同時に真性大動脈瘤を合併し, 2例は腹部大動脈瘤の術後であった. 解離部位は DeBakey III型50例中4例 (8.0%) に対しI~II型33例中3例 (9.1%) と解離の部位に偏りはなかったが, 真性瘤の部位としては腹部のものが7例中5例と多く, 他に上行1例, 上行弓部1例であった. 腹部大動脈瘤術後の2例は解離発症急性期にともに破裂し, かかる症例での注意が必要と考えられた. 両病変を合併する症例の外科治療にあたっては, おのおのの病変の部位と程度を十分に検討することが重要であるが, とくに両者が隣接あるいは同一部位に発生した症例では外科治療が複雑となると考えられる.