日本心臓血管外科学会雑誌
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SJM弁つき人工血管による上行大動脈置換術
青見 茂之橋本 明政中野 清治大石 喜六青柳 成明田中 攻西 義勝宮本 忠臣嶋田 一郎小柳 仁
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1995 年 24 巻 4 号 p. 222-226

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抄録

上行大動脈置換術に使用するSJM弁つき人工血管の有効性と安全性に対して, 薬事法に基づき3施設32例において評価を行った. 人工血管の preclotting の方法は, アルブミンを塗布し autoclave を行うか血液を用いて行った. 冠動脈再建法として Bentall 法が4例, Cabrol 法が14例, 両側の interposition graft 法が8例, ボタン状にくり抜く方法が6例であった. また, 合併手術として弓部大動脈瘤の1例には弓部大動脈の人工血管置換術を, 僧帽弁閉鎖不全症の2例に僧帽弁置換術を行った. 病院死は, 1例 (3%) で人工心肺開始前の心原性ショックによる多臓器不全であった. 術中術後の合併症として, 術中の心筋梗塞を2例, 輸血後肝炎を1例, 胆石症を1例認めた. 遠隔期合併症として急性期よりの人工弁周囲逆流を1例に認めたが, 弁つき人工血管に関連した合併症は認めなかった. 遠隔死は認めなかった. 退院後の臨床症状をNYHAにて評価したがほぼ全例に改善を認めた. SJM弁つき人工血管は優れた臨床成績よりその有効性と安全性が確認された.

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