日本心臓血管外科学会雑誌
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虚血性心疾患を合併した閉塞性動脈硬化症の外科治療
とくに Leriche 症候群における問題点に関して
井上 毅河内 寛治川田 哲嗣小林 修一西岡 宏彰濱田 良宏亀田 陽一多林 伸起北村 惣一郎
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1995 年 24 巻 4 号 p. 238-242

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抄録

当科で手術を行った閉塞性動脈硬化症 (ASO) 110例における虚血性心疾患 (IHD) の合併に関して検討を行った. 男性99例, 女性11例, 平均年齢66.0±8.8 (32~82) 歳であった. IHDのスクリーニングには, 原則として全例ジピリダモール注負荷心筋シンチグラムを行い, 冠状動脈造影により50%以上狭窄病変を有する症例をIHD合併とした. その結果, IHDは48例 (44%) に合併していた. 冠状動脈バイパス術 (CABG) を先行させた症例は10例, CABG同時施行症例5例, 経皮的経管的冠状動脈形成術 (PTCA) 施行症例8例, ニトログリセリン注のみで対応した症例は25例であった. さらにASOのうち, Leriche 症候群15例とそれ以外の症例95例とを比較検討した. Leriche 症候群のほうが平均年齢は若く (59.7±9.7歳 vs 67.0±8.2歳), 高脂血症 (73% vs 40%)(p=0.0254) とIHD (73% vs 39%) (p=0.0225) の合併率は有意に高かった. ASO, とくに Leriche 症候群の外科治療においてIHDの合併には, 十分な配慮と対策が必要である. また, ASOとIHDのどちらもが早期に治療を要すると判断された場合には, 同時手術を行うことを原則としている.

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