日本心臓血管外科学会雑誌
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高位腹部大動脈閉塞症の外科治療と予後
福村 好晃堀 隆樹北川 哲也加藤 逸夫黒上 和義
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1995 年 24 巻 5 号 p. 311-315

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抄録

過去18年間に13例の高位腹部大動脈閉塞症に対して血行再建術を施行した. 手術は解剖学的血行再建術を原則とし, 血栓内膜摘除術を2例, 腹部大動脈-両腸骨動脈 (大腿動脈) バイパス術を9例, 血栓除去兼人工血管置換術および両側腋窩-大腿動脈バイパス術を各1例行った. 大腿動脈以下末梢動脈血流の評価を行い, 病変合併例に対しては可能な限り一期的に再建を行った. 術後早期死亡が2例 (劇症肝炎1例, 脳梗塞1例), 遠隔期死亡が4例 (虚血性心疾患2例, 脳出血1例, 悪性腫瘍1例) であった. 人工血管および血栓内膜摘除を施行した自己血管の長期開存率は, 1例が術後13年目に閉塞したのみで, 良好であった. また遠隔期の症状も2例に軽度の間欠性跛行を認めるのみであった. 高位腹部大動脈閉塞症に対する血行再建術の成績は, 長期にわたり良好である. しかし, 遠隔期死亡の原因として虚血性心疾患や脳血管障害が多く, 注意深い経過観察が必要である.

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