日本心臓血管外科学会雑誌
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ASOに対するF-Pバイパスグラフト血流量と開存率の関係
藤田 雄司大楽 耕司森景 則保豊田 秀二藤岡 顕太郎善甫 宣哉江里 健輔
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1995 年 24 巻 6 号 p. 373-376

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抄録

閉塞性動脈硬化症 (ASO) に対する大腿-膝窩動脈 (F-P) バイパス術において術中グラフト血流量 (ml/min) を測定し, グラフト開存率に及ぼす影響を末梢側吻合部別に検討した. 末梢側吻合部が above knee (AK) の23肢で平均グラフト血流量は122.6, below knee (BK) 17肢で57.4であった. AKで120以上 (n=12) のグラフト3年累積開存率は100%, 120未満 (n=11) のそれは80.8%と後者で有意に (p<0.05) 開存率の低下が認められた. BKで55以上 (n=9) のグラフト3年累積開存率は62.2%, 55末満 (n=8) のそれは50%で2群間に有意差を認めなかったが, 高流量のグラフトに高い開存率が得られた. 早期閉塞 (術後1か月以内) した5症例はいずれもBKであった. 術中のグラフト血流量測定は, 術後のグラフト開存性を予測する上で一つの指標になると考えられた.

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