日本心臓血管外科学会雑誌
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腹部大動脈瘤手術における術式の選択
開腹法か腹膜外到達法か
石坂 透安藤 太三中谷 充安達 盛次高本 眞一川島 康生
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1995 年 24 巻 2 号 p. 85-88

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抄録

1988年から1991年の腹部大動脈瘤手術231例中, 待機的に行った定型的Y字型人工血管置換術症例132例を対象に, 開腹法 (51例) と腹膜外到達法 (81例) の手術成績を比較検討した. 両群間の手術時間, 術中出血量, 術中輸血量, 総輸血量, 自己血輸血量は有意な差がなかった. 術後挿管時間, 術後鎮痛剤の使用回数, 術後入院日数は有意な差がなかった. 術後胃管排液量は開腹群で有意に多く, 飲水開始までの日数, 食事開始までの日数は開腹群で有意に長かった. 胸腹部に遺残した瘤のある症例, 両側総腸骨動脈瘤症例, 心疾患合併症例は開腹法のよい適応であるが, それ以外の待機的腹部大動脈瘤手術においては, 腹膜外到達法は術後の腸管蠕動の回復が早く, 第一選択とするのが望ましいと考えられた.

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