日本心臓血管外科学会雑誌
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胸部・胸腹部大動脈瘤術後患者の quality of life
原田 幹彦森景 則保大楽 耕治豊田 秀二藤田 雄司吉村 耕一久我 貴之藤岡 顕太郎善甫 宣哉江里 健輔
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1996 年 25 巻 2 号 p. 105-108

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抄録

過去15年間に施行した74例の胸部・胸腹部大動脈瘤術後患者の quality of life (QOL) を検討した. QOLは手術前および遠隔期の performance status (PS) の grade を評定し, 術後, 術前に比べPSの grade が一つ下がった症例をPS軽度悪化例, grade が二つ以上下がった症例をPS重度悪化例とした. PS不変例でQOLが維持できたと判断し, (PS不変例数/手術症例数-死亡例数)×100をQOL維持率とした. これによると, 術後遠隔期にQOLを低下させる主なものは脳梗塞, 術後創痛, 呼吸障害, 反回神経麻痺などであった. B型解離性動脈瘤のQOLは85.7%と比較的良好であった. 上行・弓部大動脈瘤およびA型解離性動脈瘤手術症例にはPS重度悪化例があり, QOL維持率50%と低かった. QOL維持率改善には手術成績向上および術後神経麻痺などの機能障害を残さない術式の考慮が必要である.

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