日本心臓血管外科学会雑誌
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135分に及ぶ逆行性脳灌流法を併用し弓部置換術を施行したtype A急性大動脈解離の1治験例
渡邉 隆細田 泰之笹栗 志朗山本 晋
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1996 年 25 巻 3 号 p. 192-194

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抄録

われわれは, 54歳の男性で突然の胸背部痛にて発症した Stanford A型急性大動脈解離症例に対し, 超低体温, 完全循環停止下に逆行性脳灌流法を併用し弓部置換術を施行した. 逆行性脳灌流中の中心静脈圧は20mmHg, 送血流量は毎分400ml, 最低直腸温は19℃であった. 逆行性脳灌流時間は135分に及んだが術後脳神経学的合併症を認めずに救命しえた. 超低体温下逆行性脳灌流法の安全限界はいまだ明らかではないが, これにより順行性脳循環停止時間を135分まで延長しうる可能性が本症例より示唆された.

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