日本心臓血管外科学会雑誌
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急性大動脈閉塞症の2治験例
下川 智樹岡崎 幸生大坪 諭濱田 正勝片山 雄二樋口 真哉伊藤 翼
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1996 年 25 巻 3 号 p. 195-198

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抄録

今回われわれは心房細動による心内血栓が原因と思われる急性大動脈閉塞症の2例を経験し, 迅速な診断治療にて救命しえたので報告する. 症例はそれぞれ58歳男性, 60歳女性. 発症より約5.5時間後, 4時間後に手術を行い, 血栓摘除術にて血行再建しえた. Myonephropathic metabolic syndrome (MNMS) 防止のため, 血行再建時におのおの約2,000ml, 1,000mlの瀉血を大腿静脈より行い, 潟血血液は自己血回収回路により洗浄赤血球とし輸血した. 術後ミオグロビン尿が疑われたが, 輸液, 利尿剤投与による尿量維持, 電解質補正, アシドーシス補正によりMNMSの発症は認めなかった. 再灌流直後の患肢静脈血瀉血と自己血回収回路による返血は有効であったと思われた.

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