日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢急性動脈閉塞症の再灌流障害における白血球の関与
急性動脈閉塞症の実験的検討
梅澤 久輝
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1997 年 26 巻 3 号 p. 141-149

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抄録

イヌ急性動脈閉塞再灌流障害モデルを作製し, 白血球除去フィルター群と白血球活性化物質である Leukotrien B4 (以下LTB4) の拮抗物質の投与群における再灌流時の白血球の関与を明らかにする目的で実験を行った. 雑種成犬28頭の腎動脈下腹部大動脈を結紮し, 12時間後に血流を再開した. 血流再開直前に白血球除去フィルターを使用した群 (8頭) と再灌流直前にLTB4拮抗物質を投与した群 (8頭) およびコントロール群 (12頭) を作製し, 経時的にCPK, イヌ-Myoglobin. GOTを測定して比較検討した. フィルター群, LTB4投与群ともに各測定項目はコントロール群と比して低値を示し, 再灌流障害が軽減されるものと考えられた. 以上の結果より白血球除去やLTB4の抑制により再灌流障害が軽減されたものと推察され, 本症の組織障害増大に白血球が関与していることの証明であると思われた.

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