日本心臓血管外科学会雑誌
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閉塞性動脈硬化症の高齢者重症阻血肢の治療成績と問題点
正木 久男稲田 洋村上 泰治森田 一郎福広 吉晃田淵 篤石田 敦久遠藤 浩一藤原 巍
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1997 年 26 巻 3 号 p. 163-168

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抄録

1976年1月から1995年12月までに当科で経験した閉塞性動脈硬化症の重症阻血肢は261例, 273肢で, 75歳以上を高齢者群 (82例, 83肢) とし, 74歳以下の症例 (179例, 190肢) と比較検討した. 1)高齢者重症阻血肢は, 女性と Fontaine IV度の占める割合ならびに来院時大切断せざるをえない症例が多い. とくに大切断例には脳血管障害合併例が多く, 術後早期死亡率も高いため早期診断, 早期治療の必要性があげられる. 2)血行再建例では, 高齢者であっても若年者と比較して開存率, 救肢率には差はないが, 術後近接期のグラフト閉塞が多く薬物療法を含めた十分な管理が必要である. 3)術後合併症では感染症 (創部感染, 肺炎), 心不全に注意する必要がある. 4)生命予後に関しては術前, 術中, 術後を含め長期にわたり, 虚血性心疾患の存在を常に念頭にいれた十分な治療が要求される.

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