日本心臓血管外科学会雑誌
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破裂性腹部大動脈瘤手術における左開胸併用法の検討
櫻井 一村瀬 允也前田 正信玉木 修治西沢 孝夫村山 弘臣
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1997 年 26 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

当院で最近約7年半に腹部大動脈瘤に対し48例に外科治療を行い, うち13例 (27.1%) が破裂例であった. さらにこのなかで6例に対し左開胸を併用したが, この利点と欠点につき検討した. その結果, 左開胸併用法では短時間で胸部大動脈遮断が可能で早期に脳や冠血流の循環動態を改善しえること, 開腹から腹部大動脈遮断までの間の急激な大量出血にも迅速に対応できること, 開腹既往例の癒着も関係ないことが利点と考えられた. 一方問題点として, 遮断時間が限られること, 胸膜癒着例では遮断までに時間を要すること, 呼吸不全合併例が増加する可能性があること, 出血量が増加する可能性があること, 胸部大動脈石灰化や瘤合併例では解離性大動脈瘤, 瘤破裂などを新たに起こしうることなどがあげられた. 今後は, 本法の長短所を理解し, 左開胸併用法とともにバルーンカテーテル法も症例により選択していく必要があると考えられた.

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