日本心臓血管外科学会雑誌
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急性動脈閉塞症の再灌流障害におけるICAM-1, IL-8の関与に対する実験的検討
知久 信明
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1997 年 26 巻 4 号 p. 217-223

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抄録

ラット急性動脈閉塞症再灌流障害モデルを作製し, ラット Interleukin-8 (IL-8) と Intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) を用いて再灌流障害への関与につき実験を行った. Wistar 系ラットを使用し腎動脈下腹部大動脈と両側総大腿動脈を6時間血行遮断後に再灌流を行った群と同様の動脈に剥離操作のみを加えた群を作製した. 経時的にCPKとIL-8を測定し, また各種臓器を摘出して抗ラットICAM-1抗体 (1A29) による免疫染色を行い, 比較検討した. CPKとIL-8は, 虚血再灌流群で有意に高値を示した. 免疫染色では各臓器とも虚血再灌流群でICAM-1の発現が亢進していた. これは, 各臓器における好中球と血管内皮細胞の活性化を示すものであり, それに続く好中球の浸潤が各臓器の組織障害を引き起こしているものと推測され, サイトカインおよび好中球が再灌流障害であるMNMSの発症原因となる可能性を示唆するものと思われた.

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