日本心臓血管外科学会雑誌
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急性腎不全を合併した Stanford B型解離性大動脈瘤に対する二期的根治術の一例
米須 功福永 周司田山 慶一郎榎本 直史川野 博石原 健次田中 厚寿明石 英俊小須賀 健一青柳 成明
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1997 年 26 巻 4 号 p. 258-261

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抄録

症例は59歳, 男性. 突然の左背部痛, 両下肢しびれ感にて発症した. 乏尿, 顔面浮腫が出現し, 急性腎不全と診断され血液透析を導入された. DSAにて左鎖骨下動脈の末梢側約5cmに entry を認め, 解離腔は腎動脈直上まで及び, Stanford B型解離性大動脈瘤と診断された. 腎動脈直上で解離腔による真腔の著明な圧排を認め, このため腎不全をきたしたと考え, まず Axillo-Femoral bypass を施行した. 術後1週間目に腎機能の著明な改善を認め血液透析から離脱した. 初回手術から8か月後に部分体外循環下に, 下行大動脈置換術を施行した. 術後は極めて順調に経過し, 22日目に退院となった. 解離腔の圧排による臓器虚血に対し, バイパス術により全身状態が改善し, 慢性期に血行動態を評価し, 安全かつ確実な手術を行うことができたと考えられた.

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