日本心臓血管外科学会雑誌
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重複大動脈瘤手術症例の検討
真鍋 晋長岡 秀郎印南 隆一大貫 雅裕広岡 一信
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1997 年 26 巻 5 号 p. 293-297

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抄録

1991年より1995年までの6年間に経験した胸部および腹部の真性重複大動脈瘤8症例を対象として治療手順などについて検討を加えた. 男性6例, 女性2例で, 年齢は50歳から73歳までの平均65.6歳であった. 大動脈瘤における重複大動脈瘤の頻度は10%と比較的多く, 全大動脈瘤患者に対し大動脈全長の検索を施行すべきと思われた. 治療は5症例に対し胸部, 腹部のいずれにも手術を行い, 2症例に対して腹部のみ, 1症例に対しては胸部のみ手術を行った. 二期的手術では1症例のみ胸部手術を優先し, 4症例で腹部手術を優先した. 二期的手術患者の待機中の動脈瘤の破裂はなかった. 手術の優先順位は破裂の頻度の高いものから行うのが原則であるが, 破裂の危険性が同程度であれば残存動脈瘤の破裂と血栓遊離による脳梗塞に配慮して, 胸部大動脈瘤の大きさと部位から手術順位を決定することが重要であると考えられた.

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